肥満のエピソード


「健康診断をしてください」小太りの山田さんが、重そうにキャリングケースをぶる下げてやってきました。
種類は人気のロップイヤーです。ウサギももちろんカルテをとります。年齢は1歳8ヶ月、性別は、メスです。
毛色は黒、ほかにもう1匹ウサギを飼っています。今までの病歴はありません。
飼い主の方の住所・氏名はもちろん、電話番号、緊急の連絡先として勤め先の電話番号もお聞きして、万が一に備えます。大切な命を守るわけですから。
飼い主が急に具合が悪くなったこともあります。職種・家族構成および入手先も重要です。
病気と関連があることもあります。会社員であれば昼間だれもいないですし、小さい子供がいれば、衛生面の注意、繊細なウサギとの接し方も伝えることができます。
さて、呼び名はミミちゃん、体重を量ります。2.5Kg、小型種としては重すぎます。
実際の肥満度は、体をよくさわってしらべます。
肋骨や背骨の触れぐあいと、腹部の張り出し方などで理想体重を推測して、どの位太っているかをカルテに記録します。理想体重は2.0sと思われますので、2sを100パーセントとすると現在125パーセントです。
食餌は健康管理の基本ですので、内容を聞くとペレットとパンのみと言うことでした。
繊維の多い干し草を与えるよう指示しました。身体一般検査の結果、幸いほかの異常は認められませんでした。

食餌でびっくりしたのは、太りすぎのマリちゃんでした。
臼歯の不正交合で来院したのですが、M社の人用のフルーツグミしか食べないということでした。
麻酔をかけて歯を整形し、後は食餌の変更が優先課題でした。
ペレット、干し草、野菜をグミに少しずつ混ぜ、グミの量を制限して、飼主の吉田さんは愛するマリちゃんのために頑張りました。それから1年経つのですが、今はスリムで元気です。

肥満になると病気になりやすいだけでなく、腹部触診で触れるのは脂肪ばかり、内臓に触れ難くなってしまいます。診断が難しかったり、遅れ足りしてしまうことがあります。
動物への愛情として太らないように気をつけることは、飼主の務めですね。